アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となるもの(アレルゲン)により、くしゃみ・鼻みず・鼻つまり(鼻閉)などの症状を呈する疾患です。そして、舌下免疫療法は2014年(平成26年)秋から始まった新しい治療法です。舌下に投与する減感作療法薬(アレルギー反応を弱めて、発症しなくする治療法)で、注射ではありません。
ですから、痛みもなく自宅で治療できるのが特徴です。
現在、舌下免疫療法としては、
スギ花粉症に対して:シダトレン
ダニ(ハウスダスト)アレルギーに対して:ミティキュア、アテシア があります。
免疫療法とは、病気の原因となる物質(アレルゲンと言います)を少量からゆっくり増やして定期的に体内にいれて、アレルギーを起こさなくする治療です。50年以上前から注射療法(皮下免疫法)として有効性・実績がありましたが、医療機関を受診しての注射、そして注射の痛みが問題点でした。舌下免疫療法は、自宅で製剤化されたアレルゲンを定期的に服用(口の中で溶かして摂取)するだけなので、簡単になりました。
この治療を行うことで、アレルギー症状を直したり、長期間にわたって症状を抑えることが期待できます。また、完全に抑えられない場合でも、症状が軽くなったり、アレルギー治療薬の減量が期待できます。
スギ花粉症・・・近年、発症者が増えてアレルギー性鼻炎の代表格になっています。鼻水などの鼻症状以外の眼の痒み・充血も合併しやすいです。2~3月の初春のみの症状です。
ダニのアレルギー・・・スギ花粉症と違い、通年性に症状があります。よく言われるハウスダストの成分の98%はダニであり、検査してもダニアレルギーとハウスダストアレルギーの方は99%以上の一致率です。ハウスダストアレルギーの方は、ダニアレルギーと考えていいでしょう。
治療薬の錠剤を舌下(舌の裏)に置きます。すぐ溶けるので1〜2分間して飲み込みます。飲み込んだあとの5分間は、飲食やうがいができません。この治療を1日1回行います。・・・これを毎日続けていくわけです。そうすると、毎日コンスタントにアレルギー物質=治療薬を取り込んでいるために、たんだんと体が過敏に反応しなくなります。結果、「スギ花粉飛散の季節に鼻炎症状が出ない」、「ホコリっぽい部屋に入っても鼻水が出ない、鼻が詰まらない」となってきます。これが治療の目的です。
1)治療前に、症状がアレルゲンによるものかの採血などで確定診断が必要です。
2)治療は長期間(3〜5年)かかります。
3)内服初期・増量期は副作用が出やすいので、注意が必要です。
4)10-20%の方は、それほどの治療効果が出ないと言いわれています。
※初回の使用時は、副作用が出ないことを確認に、舌下使用後30分間、当院内で様子をみます。
※使用開始からしばらくは、2週間毎の受診で副作用が出ていないことを確認します。その後は1ヵ月毎の受診で服用の効果の確認や副作用の出現を確認していくことになります。
※主な副作用として:口内炎や舌の腫れ、ノドや耳のかゆみ、などがあります。ごく稀ですが、重大な副作用としてショックやアナフィラキシーなども起こりえます。
・・・以上をご理解ください。