Pico+(pico 303)の廉価版解析ソフト(Cardy Analyzer Lite)の説明ページ
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  ご注意:主として循環器専門医、ホルター解析検査技師の皆様の参考として、作成をしています。
      また、記載事項は記載当時のものであり、文章内容に保証はできかねます。
      情報提供の目的であり、購入を勧めるものではありません。ご購入は自己責任、ということでお願いします。
                        記載日:平成26年7月18日+H28/05/30追記

循環器専門医療機関でもある当院では、解析装置(専用ソフト)も院内に導入しています。
一般内科レベルでは不要でしょうが、
○機器を外した後ですみやかに(15〜30分以内に)結果を得たい、
○自身で詳細にホルター心電図を解析したい、
・・・などの場合には院内に解析装置があると便利です。
 循環器専門医として”力(リキ)”が入るところですね。

Kenz pico+の場合、コントローラーを使用してpico+からSDメモリへの転送に2〜3分、
その間に、Windows OS上の専用ソフトを立ち上げ、SDカードをパソコンに読み込ませます。
”自動解析(オートマチック)”で処理すると、トータル5〜10分で結果を得ることができます。

不整脈波形の確定(マルチフォーム編集:別記記載)には解析者が判断しなければなりませんが、
最大R−R間隔などは”自動解析”でも精度よく結果が出ます。
つまり、洞不全症候群、房室ブロックなどでの最大R−R間隔検出は、
ホルター心電図を外してから10〜15分で確認できるので、速やかに結論を出すことができます。
PVCショートラン〜心室粗動(心室細動)などのハイリスク不整脈も”自動解析”モードだけで検出できるでしょう。
また、24時間圧縮グラフ表示で1画面で1日間のST変動を見たり、
逆にマウスを動かすことで任意の時間(たとえば午前3時21分30秒など)のST変動を、
その前後の時間と比較することも可能で、(冠攣縮性)狭心症や不安定狭心症などの診断も
すみやかに結論できますので、治療方針を立てることができます。

一般論として、解析ソフトに精度を要求すると、いろいろと問題点はあるのですが(別記します)、
ともかく院内に解析装置(ソフト)があると便利です。
これは、フクダ電子、日本光電、スズケンpico 303+、どのメーカー、どのソフトにも言えることです。

そこで、当院で使用しているpico 303+解析ソフトを以下にご紹介します。
(特にコストパフォーマンスが良い Lite についての記載です)

スズケン(Kenzブランド)でのホルター心電図解析ソフトには、「Cardy Analyzer 03」と
「Cardy Analyzer Lite」があります。平成28年現在、Windows Xp、Vista、Windows 7、8.1、Win10で作動し、
他のソフトと混在インストールしていてもOKです。
*当院では、Win Xp、旧型のCPU Pentium 3で問題なく作動しています。
ソフトは2種類:
Cardy Analyzer03   :スズケン解析センターで使用しているソフトと同じ。高機能。
Cardy Analyzer Lite :上記と同じ解析精度。廉価版のため、一部「編集」機能のみを削除しているのみ。
            解析能力、解析精度は、スズケン解析センターと全く同じもの。

前者は実売100万円前後(?)ですが、後者(Lite)は平成25年秋の「Kenzブランド生誕40周年記念価格」で
「定価100万円を25万円」とキッチリ印刷してありました(カタログNo.13022、AS.AV.SV4)。
多分、実売25万円前後なのでしょう(メーカーさんへ:訂正あればご連絡ください。修正します)。
このソフトLiteとPico+本体とコントローラー一式を購入しても、”低価格、非常にお得では”と思います。
*平成26年3月の日本循環器学会総会で、スズケンは「Cardy Analyzer 03」(高機能版)をPRしてました。
 「LiteはPRしないの?解析精度は同じでしょ?」と尋ねると、「はい、精度は同じなのですが、
  会社の方針で高価格の方をPR・・・(ゴニョゴニョ)」でした。
 うーーん、無床〜有床診療所レベル、ガチガチに波形解析を行わないのならば、
 Lite でよいのでは、と思います。
 また、「Liteを購入して追加料金を払うと高機能版へ移行」というシステムがあっても良いのでは??
 どうですか?スズケンさん、、。


では以下、あえて Lite を中心に解説しています

さて、Kenzカタログをコピーしました。高機能版とLiteの違いです。「運動評価レポート」や
「睡眠時心拍変動計測」などは通常診療では不要でしょう。「HRV(心拍変動解析)」する方は、高度解析なので
高機能版を購入しているでしょう。
他の「一拍編集」、「ヒストグラム編集」、「トレンド編集」などは「編集」しなくてもいいのでは?
編集できなくてもLiteで「閲覧」はできるので、一般臨床的での解析評価には支障ないとの印象です(が、、)。




Lite版では、設定項目(環境設定)が少なくて自分の思うどうりに設定できない、自分でアレンジできない、などの
不満が出そうですが、下図のようにLite版でも設定項目は非常に多く計測方法などは1m秒単位で設定できます。
正直言って、本格派ユーザーでもフルにアレンジして使用していることはないでしょう。
メーカー初期設定で十分解析可能と思います(デス)。





では、ソフトを立ち上げてみましょう。最初に下記の画面(メニュー画面)が出ます。シンプルです。


画面の説明です:
データ取り込み・自動解析:SDカードからデータを取り込み、自動解析し一気にレポート印刷まで。
編集・印刷 / データ管理 :編集業務や印刷、解析パラメータを変更しての再解析やデータの保管・削除。
保管用ディスク参照   :過去にデータ保管されたディスク(DVD、外付けHDD)を参照し、レポート再印刷。
診療ガイド       :心電図の解説が閲覧、不整脈の動画も閲覧可能(患者プレゼン用か?)
環境設定        :解析を実施する上での、初期設定を登録・変更         ・・・です。

では、、
1)データ取り込み、自動解析
最上段の「データ取り込み、自動解析」ボタンを押すと、SDカードの心電図データを読み込み一気にレポートまで
作成します。下図です。印刷直前に、印刷イメージ画面となります。
左側にはRRインターバル、STトレンド、拡大波形(代表的、リスクの高い数秒間の波形)、
    圧縮波形(問題となりそうな時間帯の10〜30分程度のECG)のストックを表示しています。
中央部(深緑色のバック)にホルターレポートが表示されています。左側のカラムをクリックすることで
    ここに波形を表示できます。
右端には、ボタンが並んでおり、
    [マルチ(検出不整脈の1拍波形表示)]、[拡大(問題となる時間帯の数秒間の波形を表示)]、
    [体位(事前に記録していた臥位、立位などの波形を表示)]、[圧縮(指定時間数十分の波形表示)]などの
ボタンがあります。
「データ取り込み、自動解析」モードでは、右端に[次処理]のボタンがあり、クリックすることで一気に印刷できます。



・・・印刷後には、メニュー画面に戻ります。

2)編集、印刷、データ管理
循環器専門医なら、”自動解析”だけには納得できないはず。
そこで、2番目の「編集、印刷、データ管理」ボタンをクリックすることになります。
すると、下図の画面が表示されます。ここを操作することで、データの修正・高度の解析ができます。

[患者情報入力]         :患者名や年齢などを修正(再設定)できます。
[再解析の開始業務の指定と実行] :精度の高い結果を得るために頻用。取り込み済みのECGデータの再解析です。
[解析結果編集]         :精度の高い結果を得るために頻用。解析内容を確認、編集できます。
                 ここでECGデータの画面チェックを行い、最終結果(印刷出力)を得ます。
[解析結果印刷]         :結果の印刷ボタンです。
[画像データ作成]        :印刷データをPdfファイル化します。オプションです。
[設定変更]           :ST計測の位置(QRSから何m秒)、ペースメーカー解析パラメーター設定、など
                 デジタル解析するときの基本設定をユーザーが細かく設定できます。
[睡眠時間]           :起床時刻、就寝時刻を登録できます。イベント時間として表示可能です。
[血圧データ取り込み]      :携帯型血圧計(Kenzブランド BPM AM200、300(OEMです))の計測結果を取り込み。


[再解析の開始業務の指定と実行]、[解析結果編集]は、よく使うボタン(機能)です。
ここでECGデータを修正、編集することで、精度の高い結果(解析結果印刷、レポート印刷)をすることができます。





○不整脈解析
上記の[再解析の開始業務の指定と実行]クリックで表示される
[マルチフォーム分類・自動ラベリング]の場合を以下に示します。
ソフトが、問題になりそうなECG波形をこのように画面に表示します。デフォルトでは、白バック=正常QRS、
空色バック=PAC、ピンク色バック=PVC、ねずみ色バック=ノイズ疑い、となっています。
ユーザーは、たとえば、「ピンク色バック=PVCと表示されているがPACだ」と判断した場合には、
マウスクリックや矢印キーなどでPACに修正登録できます。これを繰り返すことで、
精度の高い解析結果を作成できることになり、最終結果を保存・印刷できることになります。



詳細に確認したいなら、たとえば、マウスクリックで前後7秒間のECG波形を拡大表示できます(下図)。



・・・pico+ソフトが自動でPVC、PACなどを判断してくれるのですが、判断しづらいものを
画面表示するので、ユーザーが目視訂正して不整脈の診断精度をあげて行く、というわけです。


○ST変化解析
次に、ST変化を確認してみましょう。
画面左の[STトレンド]をクリック選択すると、右側に9時間分の心拍数、STレベル、STスロープ、
などが表示されます(設定変更で24時間を一度に表示することもできます)。
もちろん画面拡大もできます(下図2番目)。
そして、トレンド部分にマウスをあててクリックすると、その時刻の波形(拡大波形)が表示できます。
これで、トレンドグラムのST上昇が虚血によるものかどうか判定できるはずです。
STレベル表示などが自身の印象と異なる場合には、上記の[環境設定]−[ST計測方法]を変更すると
より自分の期待に応じたSTトレンド表示をしてくれるはずです(設定変更−再解析は24時間を
20秒ほどで処理できます)。




・・・続きは、乞う!ご期待!!(というか、期待している人はいるのでしょうか??)

○追記:カルテへの結果のファイリングは?
 解析終了後には、自動”で保存しますか”のメッセージWindowが出て保存できます。一度保存すれば
 時間をかけて解析した結果も保存できており、再び後日に閲覧・解析もできます。
 では、カルテへの保存はどうするか?純正のオプションソフト(有償)でPDF化ソフトを購入しPDF化、
 それをデータとして保存することができます。
 当院では、このHPを作成する時に使用するソフト(Webアートデザイナ-:ホームページビルダー同梱ソフト)を
 使用しています=投資費用なしです。
 ホルター解析ソフトで保存必要な画面を出してキーボードのPrintScreenで画面キャプチャー。
 上記のWebアートデザイナ-にペーストして、欲しい部分を切り抜く。必要なら矢印やコメント文字列を付けくわえ
 それをWindowsOSの付属ソフトのペイントにコピー&ペーストします。それを印刷して解析コメント用紙とともに
 紙カルテ内に保存しています(当院は紙カルテ方式です)。”Webアートデザイナ-”でなくても、
 無料の画像アレンジソフトが多数ありますから、それにキャプチャー画面をペーストして加工、それを保存する、
 ・・・ということでコストなしてホルター解析結果のファイリングができますね。

H28/05/30追記:無償でWin10に解析ソフトをバージョンアップできた
 今までホルター心電図解析をしていた当院パソコンがWindowsXp。作動がおかしくなってきたので、ソフトウェアCDを
 新規購入のWindows10パソコンにインストールを試みた。しかし、”OSが違う”とメッセージが出てインストールできず。
 ここでめげずに、”互換性”で”Xpモード”にしてインストールすると、エラーを吐き出しながらもインストール完了。
 そして立ち上げたら、メニューは出たものの”OSが違う”とのメッセージが出て作動せず。どうも、実行ファイルや
 DLL内にOSチェックを行う(Windows APIのGetVersionEx()を使用か?)ためだろう。・・・ギブアップして、
 過去にもらっておいたスズケン担当者のメールアドレスに事情をメールした。すると、当日夕方には電話あり、
 「わかりました。Windows 10用の最新版を1週間ほどでお持ちします」とのこと。・・・約束通り翌週には担当者が来院。
 持参CDで数分でインストール完了。キチンと作動した。操作手順は以前と同じ。スムースにWin10上でホルター解析が
 できるようになった。無償でした。ありがとう、スズケン!!。
*同時期の話:他社で購入した”24時間血圧計”の解析ソフトがWindowsXp対応版だったので、Windows10で作動するか、
 このメーカーHPのお問い合わせに質問した。すると、翌日に電話あり:「当社では公式には検証していない(←オイ!、
 Windows10が発売になって随分なのに検証してないの?)。熊本地区の担当者が訪問して詳細を回答します」、、、とのこと。
 その翌日には当院ご担当が訪問になり、「当社内では公式に検証していません。やってみると作動するかもしれません。
 また、うまく 行かなければ後継機種のソフトはWin10対応なので、それをインストールすると旧型機種でも
 データ解析できるかも」とのこと(対応は早かったけど、回答が不安なものでした)。
 そこで32ビットXp対応の手持ちCDを64ビットWin10にインストールしたところ、そのままキチンと作動した。めでたし!
 Win95-Xp対応のソフトだったが、WOW64でWin10に対応できたのですね。余分な苦労をせずに解決したよかったです。
 でも、スズケンの対応にたいして、心細く感じたのは確かです。
*医療機器とパソコンの連動で、OSがバージョンアップすると連動ソフトが対応できず、最悪機器は作動しているのに
 データ表示・解析ができないために新規購入・・・というバカげたことが起こりえます。メーカーサイドとしては
 新規に購入してほしい、と思うでしょうが、OSがバージョンアップしたら、無償(〜有償)でソフトも対応してほしいです。
 せめて、新規OSでの作動確認は社内の公式データとして持っておかねば、と思いますデス。
 今回のWin10へのソフト以降では、スズケン(担当者)の対応はステキでした。